台東区蔵前は玩具や雑貨の卸問屋や、職人のモノづくりの町として小さな工場がいくつもあり、下町文化が今でも残る土地。
この保育園の建物も元々は印刷工場。高い天井と角地に開けた窓のある独特の空間は子どもたちにとってはまさに非日常空間。
その空間の体験性をそのまま生かす形で園のデザインが生まれた。
子どものスケール感を家型の家具として表現し、それぞれの年齢でエリア毎に場を設けている。部屋として仕切るのではなく、時間や行事によって様々な使い方ができるオープンスクール型に。
床材には国産の無塗装の杉板をつかい、裸足でいることが一番心地いい素材。
子どもたちの日常の場は地面から一段高く設け、冬の寒い時期には空調の暖かい空気を床下に送ることのできる煙突型循環システムをとっている。窓辺にはスノコがあり、床下を通った空気がスノコの隙間から室内へと回り、窓周りのコールドドラフトを緩やかに防いでくれる。
晴れた日は窓を開放すると、このスノコはベンチへと変わり、オーニングテントを広げれば、隣の公園との間に子どもたちだけの気持ちのいい縁側空間が生まれる仕掛けとなっている。
園内にたくさんの光が降り注ぐ東側の窓には、太陽光を虹色に変化させる特殊なフィルムが施工されており、時間と共に移り変わる摩訶不思議な光と影の体験ができる。
地球というひとつの星の中で生き抜く子どものクリエイティブで豊かな感性を自然に育むことをめざしたデザイン。
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